アスリートの対談から人生を学ぶ

一流アスリートの対談

前園真聖と三浦知良の対談 2013

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前園真聖=前:   三浦知良=三:  ナレーション=ナ:

 

ナレ:もう15年以上も昔のことだ。

 

<インタビュー映像19973月日本代表ワールドカップ オマーン合宿>

―カズさんはどうですか。

前:あの人に頑張ってもらわないとね。点取ってもらわないと困るので。(前園をビデオ撮影している三浦を指して)こんなことやっている場合じゃないですからね。

 

―カズさんにいいパス送っているんじゃないですか。

前:送って、点取ってもらうしかないんで。

 

三:いいパスくれ。

 

ナレ:盟友だからこそ語れる深い話がある。

 

前:仮に、これができたら引退してもいいなって思うことって……(三浦の答えをとるように)ないですね。

 

三:ない(笑)

 

前:書いてあるけど。これ、ないです。

 

三:おっさんサッカーにならないようにね。「大人の」サッカーね。

 

前:そこ違いますからね。

 

三:そこは違う。おっさんサッカーは大体、10番の人が円から出ませんからね(笑)

 

ナレ:今年はどんな名言が飛び出すのか。

 キングカズ、新春初告白。

 

前:ここまでのグアム合宿、自主トレ、どうですか。

 

三:順調に来ていると思いますね。あまり最初からギアを入れないようにうまく調整してきて。ちょっとフィジカルコーチが張り切り過ぎていて、ぐっとぎ上がった感はありますけど、あんまり。今度は僕が抑えようかなと。

 

前:何となくそれは、僕も一緒にやっていて感じていますけども。

 

三:気持ちが高ぶったみたいで、ちょっと注意したいと思います。

 

ナレ:キングカズ恒例グアムの指導自主トレに参加した前園。

 

117キロを走るトレーニングの映像】

 

ナレ:地獄のトレーニングを体験し、来月46歳となるカズに、さらなる進化を感じていた。それには確かな理由があったのだ。

 

【フットサル】

三:本当に9月、10月にやったフットサルというのは、当然フットサルのワールドカップもそうですけど、すごく生きるんではないかなと。フットサルって、仕掛けがすごくおいしい。局地戦の部分がすごく多かったんで。ゴールに向かう気持ちみたいな。常にフットサルって出しているわけじゃなくて。それが体感して、まだ残っているんでね。その部分は生かしていきたいし。

 

ナレ:45歳にしてフットサルに挑戦したカズ(20129月 フットサル日本代表選出 11月ワールドカップ出場最年長記録(458か月))。12年ぶりに日本代表のユニフォームを身にまとい、フットサルワールドカップに出場。サッカーより狭いコートでプレーするフットサルは、ゴールへの距離が近い。攻撃を仕掛ける意識が高まり、かつての本能が呼び覚まされたのだ。

 

【理想のゴール】

三:やっぱり僕はブラジル育ちだと思うし、ヴェルディ(川崎)のときにやっぱり一番タイトルというものをとったので、やっぱりペナルティエリアで仕掛けてドリブル、理想は1人、2人勝負して、抜いて、やっぱりゴールするというのが一番好きですし、今言ったように壁パスでワンツーで真ん中突破していく、あの快感というかな。喜びってありますよね。サッカー選手の。フォワードとして、もう相手が止まって見えるというかね。ワンタッチ、ツータッチで行って、壁パスでポンポンポンと裏に抜けたときの快感。もう自分たちがペナルティエリアを支配するという、やっぱりそれが一番好きです。

 

ナレ:ブラジルでプロの道を歩み始めたカズ。サッカー王国で磨いた技術は、日本のサポーターを魅了した。華麗なドリブル、そして芸術的なパスプレーから生まれるゴールは、キングカズの真骨頂だ。

 その感覚をフットサルで取り戻したカズ。J1復帰を目指す横浜FCにとって、目覚めた本能が鍵を握るかもしれない。

 

中山雅史GON

ナレ:カズに起きたもう一つの出来事。それは親友の引退だ。

 

中山:あの人(カズさん)の影響力は本当に大きいものなんだなというのを、今までもこれからも感じ続けていく存在なんだろうなと思っています。

 

三:あいつ(中山)がいたから、僕自身もここまで来れたと思いますし。まあやっぱり寂しさをちょっと。

 

ナレ:日本代表で長くツートップを組んだ名コンビ。ワールドカップ出場への扉は、この2人によって開かれたものでもある(日本代表通算得点 三浦知良55ゴール  中山雅史21ゴール)。Jリーグでも、通算ゴール記録歴代1位と2位(中山157、三浦139)に名を連ねる2人。日本サッカーの歴史とともに彼らは歩んできた。

 

―お互いにエールを送ってください。

三:頑張れよ。

中山:頑張れよ。

 

ナレ:だからこそ、“カズ”にしか語れない“ゴン”がいる。

 

中山雅史 実は暗い!?】

三:本当はあいつは暗いんですよ。

 

前:(笑)そうなんですか。あんまり……。

 

三:めっちゃ暗い。あいつはもう本当に暗い。部屋に閉じこもっているような奴ですから。

 

前:(困惑して)そこまでですか。ギャップが結構ありますね。

 

三:ギャップだらけですよ。

 

前:そういうところまで、やっぱりカズさん知っていると。

 

三:知っていますよ。ねえ。マンガ喫茶にずっといるくらいですから。暗くて、もう。マンガ喫茶が悪いわけじゃないけど、そういうイメージじゃないでしょう。

 

前:もう、外に出て……。

 

三:青空でアクティブに行くって。もう暗くして。

 

前:部屋かマンガ喫茶

 

三:マンガ喫茶。暗く。ウーロン茶飲んで、一番安いの頼んで。ケチですし。

 

前(笑)まあそこまで言えるのはカズさんの仲だと思うんですけど。

 でも、ゴンさんの分までという思いも、やっぱりカズさんありますか。

 

【ゴンへのメッセージ】

三:ないですね(笑)

 

前:ないですか(笑)

 

三:「分まで」なんていうのはないですね、本当に(笑)

 

前:そこはもう、全然気にしない。

 

三:全然。やっぱりもうゴンはゴンで、サッカー界でこれからやっていかなきゃならないことたくさんあるし、日本のサッカーをもっともっとよくしていくために、いろんな仕事やらなきゃいけないですからね。ゴンも、もっと僕らよりも頑張っていかないといけないんじゃないですか。

 

ナレ:引退しても、日本サッカーを盛り上げることに変わりはない。それがゴンへのはなむけのメッセージだ。

 

中山:(合格ゲン担ぎ菓子のキャンペーン?で)「頑張りゃいいじゃん!」

 

ナレ:2013年、46歳を迎える今シーズン、カズはどこに向かうのか。見果てぬ永遠の夢がキングを突き動かしている。

 

【永遠の夢】

三:ワールドカップというのは、本当に僕の、もし自分が出場していても、永遠の夢でありますから(画面左下に1994年アメリカ大会予選 いわゆる「ドーハの悲劇」の画像)。いつもワールドカップに向けて、サッカー選手絶対に、出場した選手も、もう一度あの舞台にと思っているはずだから(画面左下に1998年フランス大会日本代表メンバー落選の時の画像)。それがワールドカップというものですから。やっぱり僕にとってもワールドカップというのは、次の2014年(ブラジル大会)、自分がどうなっているのかわかりませんけど、それはもういつまでも僕の夢であることは変わりないです。

 

前:しかもブラジルですもんね。

 

三:本当に自分が育った、ずっとつながっている国ですからね。そういう意味では、ブラジルで行われるワールドカップというのは、本当に何か特別な思いが今以上に出てくるというふうに思いますけどね。

 

ナレ:夢について、カズはこう語っている。「根拠なんてなくていい。まずは夢を語ることから始めるべきだ。語り続けることで夢は信念になる。賛同した人たちからの協力も得られる。いろいろなことが動き自分も成長して、いつの日か夢は現実になっていく。

 

―了―