新黄金世代 スペシャル対談 前田健太×坂本勇人
1988年、この年に生を受けた選手達が今球界を設計しつつある。
近い将来、新たな黄金世代となるであろう選手達。
そして、この二人も。
今や、不動の切れ込み隊長にしてチームの顔へと成長した巨人・坂本勇人。
去年、タイトルを総なめ。ピッチャー最高峰沢村賞に輝いた広島・前田健太。
新黄金世代を牽引する二人のスペシャル対談。
共にプロ入りしたのは四年前。
一軍に定着した二年目から、プライベートでも親交を持つようになった二人。
「いや僕は性格明るいしこんなに活躍しても全然相手してくれるから。あんま最近付き合い悪いけど。だいぶ悪いけど」
「誘いが遅いんだよ。一緒の関西人でノリも合うし、活躍しても変わらない。二年目からずっとこんな感じで変わらずにやってるんで。こういうノリとか楽しいから好き」
「ギクシャクすんな、これな。難しいな」
「難しい」
今回はそれぞれ気になる質問をぶつけトークを展開。
ここで早くも坂本から先制攻撃が。
「めっちゃ字綺麗。やばいって。めっちゃスラスラ書くな。やっぱこれ頭の良さの違いが出てきますね、このへんで」
最初の質問は、その達筆な前田から。
「ごっつ字が綺麗やね」
「前田健太のどの球種が打ちやすい?」
「うーん・・・シュート?シュート! まぁスライダーカーブはやっぱりあれやね。難しいわ。まっすぐはやっぱ早いから。難しいよなぁ」
「へなちょこツーシームか・・・」
「あれ投げん方がええかもな」
「あれでも今年は・・・あ、去年全然投げてない。去年?2010年。ま、一回レフト線に二塁打を打たれたから。完璧に決まったのが。ちょっとショック受けた」
「まっすぐスライダーいいもんな。カーブも、スライダー狙ってたらカーブも来たらラッキーかな」
そんな二人も対戦成績では前田が優勢。
分の悪い坂本からはこんな質問が。
「前田健太に聞きたいこと。弱点・アドバイスをお願いします」
「なんすかアドバイスって」
「俺の弱点を聞きたい」
「思いきりがいいから結構振ってくれる。ボール球も」
「スライダーもね?」
「うん」
「なるほどね
「あれが振られへんくなると結構いややな、ピッチャーとしては。でもインコースが強いっていうのはピッチャーとしてはほんまにいやになってくる」
「基本外やんか、ピッチャーって。だからインコース強くてもあんまりあれじゃない?」
「外に投げときゃいいっていうのが、外を打たれ出す原因で。そこでインコースたまに見せるのを、打たれへんかったらもっとラクなんやけど、そこを完璧に打たれるとインコースが使いにくくなるからアウトコース一辺倒にどうしてもなってしまう。そこでボール球を振られへんくなったらピッチャーはやっぱり。そこで振ってくれるとあれやけど」
「ボール球振らんくなったら・・・」
「インコースも使い出すし、そのインコースを打たれるともうお手上げ。」
「お手上げです」
そして今、一番気になる選手といえば・・・今シーズンから同じプロの舞台に立つことになった北海道日本ハム・斎藤佑樹。
「前田健太に聞きたいこと。佑ちゃんについて。ピッチャー的にどうなのかなぁっていう」
「なんでそれもってきたん」
「いや、ピッチャー目線で佑ちゃんはどうなのかなって。やっぱバッターはピッチャーほどわからへんからさ」
「ピッチャーから見てやっぱり、ゲームを作る能力はあると思う。一つの長所やと思うけど。大学生の時の話で、プロではどうかっていうのは分からないし。先発でやっていくにはやっぱ試合を作るっていうのは大事な要素やから・・・まぁまぁ、なんとか。でもパリーグに行ったってことは、パリーグに打線がやっぱり強いし・・・」
「それはセリーグのバッター達がしょぼいと言ってる・・・」
「そういう意味じゃない。DHもあってっていうのもあるし」
「ほんまやな。それはあるな」
「まぁ、バッター目線から見たら・・・どうなんですか」
「後から入ってきた人達とはね、まだ対戦もないし、どんな人かも選手かもわかんないんで。まぁ、前田健太には負けたくないですね、一番」
「同級生にはやっぱり良い選手が多いんで負けたくないってのはあるし。坂本勇人には絶対負けたくないですね」
数多くいる同世代の中でも二人がナンバーワンと認めるのは、東北楽天・田中将大。
「僕はもう小学校から知ってるし、まぁでもプロで先にやってるから、僕らの代の代表的な、引っ張ってってくれてる人だと思います」
「俺は一緒のピッチャーですごい活躍してるんで、良いライバルでもあるし良い同級生の切磋琢磨できるライバルでありたいと思うんで。その中で負けないように頑張ってはいきたいなと思います」
そんな新黄金世代も今年で二十三歳。今後ますます活躍が期待される将来については?
「一緒に野球がしたいか?」
「メジャーに行きたい?国内なら巨人? 一緒のチームで野球したいっすね。オールスターの時に後ろで守ってて、良いなぁと思った。一緒にやれたらおもろいやろうなぁと思った。まぁでも一緒なら、国内なら巨人に来てほしいなぁっていう」
「広島に来てほしいなぁっていう」
「メジャー行くのかなぁ?行くん?」
「いや、わからん」
「正直!正直メジャー行きたいでしょ?」
「行きたくないよ、別に、今」
「あ、全然ない?」
「うん。行きたい?」
「あー、俺全然ない。めっちゃアイラブジャパンって感じ。マジで。ほんま日本が好きやから。絶対メジャー行くんやろうなっていう・・・なんやかんやでやっぱメジャー行きたくなるんやろうなっていうね。ピッチャーってやっぱりみんな行くもんな?結構な?」
「最近ピッチャーの人多いな」
「いや行ってほしいな。メジャーでどれぐらい・・・めちゃ活躍してほしい。俺は何してるんやろな」
「バリバリやってるだろうな。4番ぐらい打ってるんじゃない?結構もう大きくなって、ちょっと太りだして。4番打ってるんじゃない? メジャーは?メジャー」
「メジャーはもう全然ない。ほんまにないわ」
「ジャイアンツが給料に困ってるでしょうね。5億とかになってもう」
「なってたらええなぁ。そうやってなってたらええけど」
尽きない将来の話はこんな話題にも・・・
「でも三十で結婚したいな、さすがにな」
「三十にはさすがに結婚して・・・」
「子供一人ぐらい・・・二人いてもいいな。多分、マエケンの方が早いな」
「そうか?でもまぁ結婚して子供がおれば。子供ができたら勇人ってつけようかな、俺」
「前田勇人?」
「前田勇人。坂本健太」
今シーズンも目が離せない新黄金世代。
最後はお互いにエールを交わし、対談を締めくくった。
「首位打者を取ってほしい。で、俺の時はボール球をいっぱい振ってほしい。3割・30本・30盗塁。トリプルスリー」
「盗塁なぁ・・・。十四個やで?倍増?」
「いけるだろう」
「多分沢村賞とか獲って、すごいプレッシャーの中で来年のプレーが始まると思うんで。プレッシャーに負けるタイプじゃないから。俺にはわからんプレッシャーがあると思うけど頑張ってほしいっす。あと、まっすぐ多めでお願いします」