アスリートの対談から人生を学ぶ

一流アスリートの対談

落合監督が語る日本一への道 3-6

選手同士が互いに競い合い、自ずと成長する事を期待していたのです。

「誰がいいとか誰が悪いじゃなくて、生き残りをかけてやっているっていうのを。選手が答えを出してくれる。こっちが答えを出すっていうよりね」

キャンプ中、ベテラン選手には意外なものを用意しました。

1日の練習メニュー。あえて何も書かず、白紙のまま貼り出しました。

自分に合った練習方法を考え、実行してほしい。

落合監督の現役時代のような、自発的な行動を求めたのです。

「自分のペースでやらしてもらってるんで、何とかこう、もちろんこうね、責任感も出てくるし」

「しっかりやらなきゃいけないっていう気持ちにはなりますね」

徐々に実勢が芽生えて行った選手たち。

居残りで練習を志願する選手も増えて行き、練習量は12球団1と言われるまでになりました。

 

落合監督がとても大切にしているのが、時折選手に語りかける言葉です。

日本シリーズMVP中村紀洋選手。

落合選手の言葉を心の支えとしていました。

オリックスを退団して、今年テスト入団から新たなスタートを切った中村選手。

早く結果を出さなければならない。

大きなプレッシャーを感じていました。

そんな時落合監督にかけられた一言は、意外なものでした。

「あまり期待してないから」

「あまり期待してないっていう風に、はい、言われたんで。その方が楽になりましたね。期待の裏返しかなっていう風に思って、その事を何とかあの~とってよかったなと、チームに呼んでよかったなっていう風に、最後に言われるように精一杯頑張って行きたいなって思います」

独自の理論で選手を育て、チーム力を高めて来た落合監督

53年ぶり、日本一の裏には、4年がかりのオレ流チーム改革があったのです。

 

「まぁあの1年目の~就任が決まられた年ですね~で~一切補強されませんでしたよね?で、オレはまず見るんだと。自分の目で確かめてチームを分析していく。それをまさしく1年目のキャンプ、2月1日は全員を一箇所に集めて、で、それはもうまさしく有言実行されて、でもその年のレギュラーシーズンっていうのは、おそらくあの時12球団、1番多かったと思うんですね。選手を1軍で使った人数っていうのは。それでなおかつ、オフシーズンにバサッとユニホーム脱がせたじゃないですか?あれはあの~選手から話を聞くと、チャンスはくれる、見てくれる、だけど本当の厳しさって言うんですか?手を上げるっていう厳しさよりも、あぁ、野球が出来なくなってしまう、こんな恐ろしい事はないって、口々に言ってましたけどね。一番怖い監督かも知れないですね」

「そうだろうね」

「はい」

「結構みんなね、あの~すごくその~なんていうのかな~、こんないい選手切るの?みたいなみたいなんで、そりゃ頑張ってる選手沢山居るんだよね。でも中日ではダメだから、やれる所を、チャンスを与えてるわけなんだよね」

「探してやるしかない」

「だからそのあたりをね、やはりこう、監督落合はもう回りからね、すぐ首を切る監督だって言われてるけど、そうじゃない部分もあるんだよね。このあたりまだね、知られてない部分っていうかね。うーん。これあの~今年中村紀洋がね、全然行き場所がなくて、もう、当然俺が元々監督だったから、野球やりたいですと。監督何とか頼みますって言うんで、一番先に落合に電話したのね。で、あの~70人の枠の中に入れないからダメだと言って、色々こう連絡してね、各球団に。で、結局ダメだったの。で、2月のね、9日、10日だったかな。お~い!大丈夫か~?うんいいよ~って。紀、来るかな~?って。いや~、来るかな~?って言われたよって。でもな、普通の登録じゃないんだよ。

育成選手なんだよな。400万だぞ。いいか~?って。で、それで中村に電話したら、いや~!もう是非お願いします!って。で、あの~、監督に連絡してもらうからって言って。そっからがスタートなんだよ」

「そこでばらしちゃうかお前。エッヘッヘッヘ」

「うーん」

「最後まで骨折ったのは誰かっていうのを。ただ、選手としては登録してないよ?それでいいか?って言ったら、それでも、テスト受けるだけで十分ですからお願いしますってね。それで13日来たのかな?」

「そりゃね、5億以上もらってたのがね、400万。100分の1以下の」

「そうですね~」

「でもね~、野球がやりたいやりたいってね、どこもなくてね、もうオリックスに頭下げたらいいじゃないか。それが一番いい事だって。だけどね、紀も頑固というかね、オリックスだけは下げたくないって。もうしょうがないよね、自分で選んだ道だし。でもね俺思ったけども、他のチームじゃなくて、落合の所でやるのが絶対成功するって俺言ったの」

「そうですね~」

「断言したよね?あの時」

「そう」

「お前の下じゃないとダメだよ~。って」

「あれを使えるやつはそうはいないよ」

「でもね、あの~本当にようやってくれたしね、本当に落合の下でMVPになったんだよね?」

「梨田に言ったのはね、1年育成で俺が見るって言ったの。選手の契約するかどうかは分からないけども。で、ファームでゲーム出来るんだから、1年間こういう形で野球をやればあいつも、ね、野球に対する体も戻るだろうと。で、400万なら400万の育成でね、一生懸命野球やってたら必ずどっかで見てる球団があるから、そしたら俺は欲しいっていう所に紀出すぞって。それでもいいか?って聞いたんだよな。」

「でも、その~戦力として何度も梨田さんからの話に断りの返事を出して、で、キャンプでも育成選手、もしシーズン中ある程度頑張っても、他球団にだしてもいい。その感覚だったのが、何がどう変わって行ったんですかね?実力だけのものですか?」

「いや、やっぱり必死こいて野球やりたいっていうのと、あいつが変わったのは甲子園から。甲子園で俺1時間説教したんだもん。お前このままだったら野球終わるぞって。で、今のままなら使う気ないからねって。で、色んな事を話しながら、あいつ泣いてたけどね」

「それ8月?」

「かな~。」

「もうショボーンとしてる時」

「7月だ」

「7月?うん何かね、練習見てたらね、もうショボーンとしながら練習してる時あったんだよね」

「オールスター前だと思う」

「やっぱりね、粗治療するんだよ粗治療」

「梨田なら絶対しないと思う」

「あっはっはっは」

「で~、本人の中に、本人の中に俺はあったかどうかは分からないけど、俺はもうゲームに出るんだ。出れるんだっていうものがね、やっぱりちょっとずつ出てきてる時期があったの。で、その時期ってのがやっぱあるの。うちはどうやってもデイゲームが弱い。で、交流戦の時に大阪ドームでね、オリックスとやってる時に、ナイター明けのデイゲームかな?で、谷繁、井畑、荒木、森野、こいつらをその、練習中に左右に振ってたんだ。ノックで」