アスリートの対談から人生を学ぶ

一流アスリートの対談

落合監督が語る日本一への道 4-6

「体を起こしてやらないといけないから。で、彼らは、監督がなんでこういうノックをしてるのかなっていうのは理解しる。朝早いし、デイゲーム慣れしてない。だから、一汗かかせて、それで目覚めさせてゲームに入れようっていう風にしてるんだっていうのを、理解してボールを一生懸命追うんだよ。で、届かないっていうのは分かってるんだよ、届かない所に打ってるんだから。でも、そこまで行けば届かなくてもある程度体には刺激があたえられるっていうのは、彼らが分かってるもんだから一生懸命それを追いかけて、別にスルーしたって構わないんだよ。何で取らないんだっていうのは絶対言わないから。で、中村にそれやったらふてくされたよあいつ。あ~理解してないんだって」

「それは監督が打ってる球に対してふてくされたの?」

「うん。ふてくされっていうかそういうね」

「態度に出たっていう感じだね、うん」

「おっかけ~、ポンッて行って諦めるっていうか、うちの野球っていうか、今のこの~今日のゲームの状況っていうのは、まるっきり理解してないんだ」

「なるほど」

「あ~これじゃダメだなと思いながらね」

「うんうん」

「ノックで探られたんですね?」

「それって、選手作り上げてく時っていうのはそうだもん。見てて分かんないから、こいつはどこまで動けるんだ?どこまでは大丈夫なんだ?じゃ、我々が思っているその一線まで来てるのか来てないのかっていうのは、自分で試してみて、あ~こいつだったらちょっと目があるなと思えばこっちも必死になるし、これはただ単に練習やらされてるんだなと思えば、後はお前らに任すよっていって、俺はもうノックバット振らなくなるしね。だから、最終的なその~試験をやってる様な場所?で、それを、理解出来るやつは上手くなって行く。やらされてるやつは、やっぱそこで終わってる」

「確かにね~」

「もう、キャンプ行ったってね、もの凄い量のノック?もう信じられない。もうね、受けるのもそうだけど、打つのもね、本当ね、朝から晩まで野球漬け。これはね、凄いな~と思うね」

「梨田監督も来年はやらなきゃいけない?」

「いや、ここはそんなにやらないよ」

「うっふっふっふっふ」

「ある程度下地が出来てるから」

「で、それで紀が、他の選手と比べてそれが出来ず、その~まぁ慢心とは言わないのかも知れませんけど、レギュラーとして出られる所をやっぱり、バンッと変えた訳ですね?」

「いや、だから近鉄時代の中村に戻ったんだよな?」

「そうだね」

「あの時期に中村紀をとって、他の選手とのバランスって言うんですか?そういうのはかなり難しい、難しいというか 、ある程度気配りされた所はあるんですか?

「一切ない。力の世界。泣き言言うやついらないもん。ね?泣き言言って能書き垂れるんだったら練習しろって。そいつを追い越して行くだけのものと掴みとれって。そういうメンバーだけが、あそこへ出られるんだって」

「落は選手とは部屋でしゃべったり、部屋に呼んだりしない?」

「しない」

「グラウンドの上だけ?」

「よっぽどなんかあった時以外は」

「それは怒る時?」

「ん?ううん。本人が悩んでる時。だから飯食うこともなければ、外に歩く事もなければね。そこはもう、コーチ連中にも一切言ってあるから。だからこういう風に自分で囲うなって」

「あぁ、なるほどね」

「まずいい事ないから」

「うーん」

「本人が悩んでるっていうのは~」

「もうすぐ分かる!もう分かりやすいうちの選手は」

「あぁ、そうですか」

「だから、そこのなんていうの、SOSを出してる時にそれをこっちがちゃんと見といてやるか」

「そのSOSでもう完全にSOまでか、最後のSまで行くか」

「最後まで行かなきゃだめだな」

「あぁ~全部全て?3つ行かないと、手助けしないと」

「行かなきゃだめだね。うん」

「うーんなるほど」

「でなきゃ」

「これは~人によってね」

「聞く耳もたん」

「あぁ~もうエスオー位まで行くとちょっと早すぎて」

「別にまだ言われたかないやって。ね?」

「なるほどな~」

「所があるだけに、俺はもう何していいか分からないから、誰か助けてくれよって、頭が真っ白になった時点で初めて人の意見を聞くから。それまではほっとけばいいの」

「なるほど」

 

「交代の時に監督が自らね、マウンドへ行ってボールっていうね。あそこでどういう話してるのかは分からんけども、なんか、ニコッと笑いながらとか、たまにはもう。でも、あんまり嫌な顔しないよね?

ヘラヘラっと言って、ポッボール受け取って交代とかっていう、そんな。ずっと続けてるよね?代える時ってのは」

「あぁこれはね、一番ブーイングを受ける場所?ね?いいとこどりだけしちゃいけないって監督は」

「あぁ」

「一番嫌な役割っていうのは、自分がしなきゃいけない。コーチにやらしちゃいけない。ピッチャー交代を、打たれた奴を何でここまで放らすんだとかね?何でこんなピッチャー使うんだ!って言われるのがさ、監督で十分だって。だから、その罵声を浴びに行ってるだけ。使うの監督だ!」

「落合流ってなんなの?」

「何もない」

「え?良く落合流って、いや、オレ流からこう、落合、中日流っていうのと、落合流ってのと来てるじゃない?だから、本当の落合流ってなんなのかなって」

「あれはマスコミの方でしょ」

「いやだけど~、それをちょっとこう、色付けてくとどんな、枝葉をつけていくと、あぁ、こんなんがオレ流なんかな~というね。そういうのって聞きたいよね?あんまりしゃべらないから」

「要は、選手の一番いいものをどうやって引き出すか。その引き出し方が、多少人とは違って異質に見えるからそういう風に言われてるんじゃない?」

「あのね、そのね、一緒なんだよ。選手のいい所を引き出すという所が。その出し方が違うんだよね。

やっぱり選手ってね、プロ入った以上はね、10のうち1つ2つはすっごい秘めたものがあるんだけども、悪い所を人間ってやっぱり見てしまう所がある。ここだめだ、足が遅い。そこをやっぱりね、いい所を見てあげようとするんだけども、出し方が違うんだよね、引き上げ出し方というかね」

「だから、何かがいいものがあってこの世界に入って来た。悪いものが目について入って来た訳じゃない。いいものが、ね?みんなの目に止まって入ってきたの。それをどうやってその選手に表現させて、上手いことこっちが使いきるか、その目を持たなきゃいけないんだろうと」

「うんうん」

「勝つためにどういう事をしなきゃいけないっていう、その方向性を出すのが監督であり、それを手助けするのがコーチであり、それで自主的に練習するのが選手なの。選手は自分がレギュラー取るために、どうやって一生懸命野球の事考えて、自分の生活を考えて、やるか。でも、その方向付けをきちっとしてやらないと、彼らはどこに行っていいか分からない集団だもん。そんなになんていうの、野球の事を知ってるわけでもない、頭がいいわけでもない、決して我々が頭がいいわけでもなんでもないの。ただ、その責任はチームを預かった人間にはあるっていう事。だから、難しい事は何もさせてないし、しようとも思わない。練習しないんだったら練習やればいい。で、どうやったら上手くなる?練習方法ってないのか?それは考えればいい。それは後、やるかやらないかは選手次第。やったやつはレギュラー取る、やらない奴はユニホーム脱いでもらう。そんな簡単な事でいいんだろうと思う。だから難しい事はさせません、俺も出来ないし。要は、自分の与えられた仕事を、

ね?きちっとその~、全うするかしないか。もう自分のなんていうの、全精力っていうか全てを傾けてそれに没頭するかしないかでしょ。雑念ないもん」

「うーんないね」

「そんな暇ない」

「うん」

 

「僕あの~、今日この場を借りてじゃないんですけど、ず~っと聞きたかった事があって、落合監督が大学から1回野球を離れられて、で、一説によるとプロボーラーですね、ボーリングの方ですね。

目指された時期があって、で、そこからまた社会人企業に入って、野球のその本格的な野球の場から何年位遠ざかったんですか?」

「5年」

「5年ですか?」

「うん」

「丸5年遠ざかって、で、その時期のなんていうんですかね、野球に対する情熱だとか」

「まるっきりなかった」

「でもなんでこうなれたんですか?」

「えぇ?なんでだろう」

「そこから丸5年、現場というか野球界から離れて、で、社会人企業で大活躍して、プロに入って大活躍して」

「うん」

「っていう、ここまでの経緯っていうのは、ご自分ではどう考えてますか?